コラム

娘のために書いた自筆証書遺言で、娘を守ることができなかった父

自筆証書遺言の内容のチェックがいかに大切かをお伝えする内容(物語)です。

是非、お読みください。

 

ある日、無料相談の電話が鳴った。

こういう内容だった。

娘「父が他界しました。父が書いてくれた遺言書があります。至急、その遺言書が法務局で使えるかを司法書士さんに聞いてみてくださいと相談をしている弁護士さんから言われまして・・」

私「承知しました。すぐに、事務所に来ることができますか?」

娘「はい、すぐに伺います。」

娘さんが来所。

私「・・・、この遺言書では・・・。」

私は、弁護士さんがなぜ、至急、司法書士のところへ相談しに行くことを促したが一瞬のうちに理解できた。

娘「私には兄がいて、私も父も、昔から兄との折り合いが悪く、相続のときに私が困らないように、父が生前に書いてくれた遺言書なのですが・・。使えますか・・。」

私「ここと、ことを見てください。法務局でおそらく問題となる部分です。」「しかも、〇〇県の法務局ですので、もしかしたら、地元の司法書士に聞いてみるのも選択肢の一つですが、時間がかかってしまうかもしれないので、まずは、私から、管轄の法務局にFAXをして、確認してみますね。」

私は、〇〇県の△△法務局に電話をして、事情を説明し、法務局としての見解を求めた。

法務局「事情は分かりました。明日、回答させていただきます。」

娘さんには、翌日に法務局の判断を伝えることになった。

私「自分で書かれた遺言書というのは、残念ながら法務局で使えない内容になっていることが多いのです。お父様としては、一生懸命、大切な方のために書いているので、その想いは伝わってくるのですが、その反面、だれが読んでも、誰に対し、何をするのかを客観的に特定することができていない遺言書になってしまうことがあるのです。」「こことここをご覧ください・・」

私は、娘さんに法務局で問題となりそうな部分をあらためて示した。

娘「・・、ああ、なるほど・・。だから、弁護士さんは司法書士さんに見てもらってくださいとおっしゃったのですね。」「父は、小さいころから、私を可愛がってくれました。一方で、兄は父と折り合いが悪くて、父に暴力をふるうこともあったりして・・。」

私「そうだったんですね。・・お兄さんは、あなたに嫉妬していたかもしれないですね。」

娘「えっ、何故わかるのですか?その通りなんです。私もそのことをずっと感じていました。」

私「相続というのは、人間関係の縮図です。その方のお困りごとから、人間関係が鏡のように映し出されてくるのです。」

私「お兄さん、〇〇〇〇〇とおっしゃっていませんでしたか。」

娘「はい、まさに、その通りの言葉で言われたことがあります」

私「なぜ、私が、会ってもいないお兄さんのセリフがわかるかというと・・・」

私は、そこから5分ほど、人間関係について、娘さんとお話をさせていただいた。

私「ご理解いただき、ありがとうございます。目の前の課題は、必ず乗り越えることができます。一つひとつの課題と向き合っていきましょう。」

翌日、法務局の回答は、「今回の遺言書は残念ながら、登記では使用できないものであると判断しました」との内容だった。

そのことを娘さんに伝え、再度、弁護士さんに相談してみることになった。

(ある相談の内容を相談者のご許可を得て、デフォルメをしてお伝えさせていただきました)

 

以上のように、大切な方のためにかかれた遺言書が、結局、使えない、ということが多々あります。特に、ご自身で書くことができる自筆証書遺言は、形式面と内容面の両方からの検討が必要となります。

 

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