コラム

「相続は人間関係の縮図です 」~ある無料相談の風景~

 

 

 

 

 

私の相談風景を感じていただくために、相続”事件簿”より、ある事例をご紹介いたします。

※守秘義務に配慮し、実際の内容をデフォルメしてあります。

 

~ 相続は人間関係の縮図です~

 

田中さんは、息子さんと共に事務所を訪れた。

先日、母親が亡くなり相続手続きを 進めたいとのことであった。

息子さんは第一印象から爽やかで、名刺には「A株式会社・代表取締役」とあった。

その後、田中さんの名刺を受け取ると同じく「A株式会社・取締役」という肩書が見 えた。

聞けば先代から続く小さな町工場を、代々引き継いでいるとのこと。

「会社の経営の方はいかがですか?」息子さんに尋ねると「お陰様で順調です」と やはり爽やかな声で答えが返ってきた。

「それはいいですね」と答えながら、ふと横 に座る田中さんの顔をみると、目を細めて満面の笑みを浮かべていた。

「田中さん、 良かったですね。私もいろいろな会社の社長さんとお話をしますが、会社の引継ぎに は皆さん悩んでいらっしゃいますよ。

息子さんに上手くバトンタッチできてよかっ たですね」「それは、私も本当に喜んでいるんですけどね・・・」

満面の笑みを浮か べていた田中さんの顔が、今度はみるみるうちに曇りだしたのだった。

「どうしました?」と尋ねると「ほかでもない、母親の相続のことですが・・・実 は、息子に任せた会社の敷地が母名義なんです」とのこと。

そこで私は、いくつかの 質問を投げかけてみた。

「相続人さんは何名いらっしゃるのですか?」

「私と弟の二人 です」「弟さんはどうお考えなのですか?」

「それが、まだ、しっかりと話ができてい ないんです。

ただ、弟は父の相続のときにも自宅の敷地を相続していますし、母の面 倒を見たのは私です。

それなのに、母の相続の話になると、むっとした顔をして家の 中に引っ込んでしまうんです」

私はさらに質問を続けた。

「お母様の財産はその土地のほかに何かありますか?」

「農協に少しだけ定期が残っています」

「田中さんは、どうされたいのですか?」

「土 地を私の名義にし、事業を継ぐ息子に託したいです」

ここで私が

「田中さんのお気持ちはわかりました。

ただ、ご存知のとおり、お母様  の遺産を分けるには、弟さんともしっかり話し合っていただき、

その結果を遺産分割 協議書という書面にする必要があります」

と説明するや、田中さんは口を真一文字に 閉じて沈黙してしまった。

その様子を見ながら横にいた息子さんが「先生、それは父も分かっているんです。 ただ、叔父が・・・」と割り込んできた。

少し沈黙が続いた後、私はゆっくり田中さんに話しかけた。

「私からどちらがどれ くらい貰うべきだとは言えません。

お二人でとことん話し合いって決めていただく ことになります。

ここからは、一般論として聞いてください。兄弟にはそれぞれ想い があります。

相続は今までの人間関係の縮図です。そして、兄弟には光と影があると 私は感じています。

例えば、親がかけてきた言葉の積み重ねが長い時間をかけて、光 と影をつくってしまっています」

すると田中さんが、重たい口を開いた。

「そういえば、弟はいつも私に会うと“兄貴 ばかり”と言っていました」

「そこにヒントがあると思いますよ」

私はすかさず、一枚の紙を用意して目の前に あるコップに横からその紙を当てた。

「これではコップは動きません。でも・・・」

と今度は、コップの下に紙を敷いてその紙を横に引っ張った。

すると田中さんは「な るほど、下に入り込めば動くのですね」とつぶやいた。

「まずは、弟さんの話をしっかりと聞いてあげてください。聞くに堪えない言葉を 浴びるかもしれません。

でも、それは弟さんの心に溜まっている心の膿と思って聞い てあげてください」

私の説明にしばらく沈黙を続けた田中さんは「やってみます」と 凛とした声で返事をしてくれた。

それから半月後、田中さんが突然事務所を訪れ「先生、ありがとうございます」と 深々と頭を下げた。

顔を上げるとそこには息子さんを見て満面の笑みを浮かべたときと同じ細い目をしながら、

「弟と話し合いをすることができました。ありがとうご ざいました」と話す田中さんがいた。

「そうですか。頑張られましたね」との私の言葉に「はい、頑張りました。少し辛 かったですけど」

と少し苦笑いをしながらも、田中さんの顔は、息子さんへの事業承 継の道が開けた安堵感でいっぱいであった。

 

いかがでしたでしょうか。

私の相談スタイルを感じていただければ幸いです。

相続問題は、法律や判例に当てはめれば簡単に解決できるというものではありません。

もちろん、弁護士さんや裁判所に入っていただいた方がいい場合もあります。

人間関係に光りを当てることでその解決の糸口が見つかると私は信じています。

これからも、人間関係にこだわりつつ、ご相談に対応させていただきたいと思っております。

まずは、無料相談をご活用ください。

フリーダイヤル 0120-773-015 (075でもOK)

 

私が相続の無料相談にこだわる理由

 

0120773075