コラム

遺産分割協議の自由度を知っていますか?

こんにちは。今回は多くの方が勘違いしている遺産分割協議についてお話しします。

よくある誤解:「法定相続分どおりに分けなければならない」

遺産相続の相談を受けていると、多くの方から「法定相続分に従って分けなければならないのですよね?」という質問をいただきます。これは実は大きな誤解です。

結論から言うと、遺産分割協議では相続人全員の合意があれば、法定相続分にとらわれず自由に財産を分けることができます

法定相続分とは何か?

まず、法定相続分について簡単に説明しましょう。法定相続分とは、民法で定められた相続財産の取得割合のことです。

例えば:

  • 配偶者と子がいる場合:配偶者1/2、子1/2(子が複数いる場合はその人数で均等に分割)
  • 配偶者と親がいる場合:配偶者2/3、親1/3
  • 配偶者と兄弟姉妹がいる場合:配偶者3/4、兄弟姉妹1/4

これらの割合は、遺言がない場合の「法律上の目安」に過ぎません。

遺産分割協議の真実:自由度は高い

実際の遺産分割は「遺産分割協議」によって決まります。この協議では、相続人全員の合意があれば、法定相続分と異なる分け方をしても全く問題ありません。

具体例で見る自由な遺産分割

例えば、父親が亡くなり、母親と2人の子供(長男・長女)が相続人となるケースを考えてみましょう。

法定相続分では:

  • 母親:1/2
  • 長男:1/4
  • 長女:1/4

しかし、以下のような分け方も全員の合意があれば可能です:

ケース1: 母親が実家に住み続けたいと希望する場合

  • 母親:実家の不動産(価値が遺産全体の7割)
  • 長男:預貯金の6割
  • 長女:預貯金の4割と亡父の形見の品々

ケース2: 長男が事業を継いでいる場合

  • 長男:事業用資産全て(遺産の6割相当)
  • 母親:実家の不動産
  • 長女:預貯金全額

なぜ自由に分けられるのか?

遺産分割協議が自由にできる理由は、民法上の「私的自治の原則」に基づいています。相続人同士が納得して合意した内容は、法定相続分より優先されるのです。

協議がまとまらない場合はどうなるの?

もちろん、相続人間で話し合いがつかない場合もあります。そのような場合には:

  1. 調停:家庭裁判所に調停を申し立てる
  2. 審判:調停でも解決しない場合は審判に移行

この場合、裁判所が法定相続分を基準にしながらも、各相続人の事情を考慮して分割方法を決定します。

まとめ:柔軟な遺産分割を考えよう

遺産分割では、次のポイントを覚えておきましょう:

  1. 法定相続分はあくまで「目安」
  2. 相続人全員の合意があれば自由に分割できる
  3. 被相続人(亡くなった方)の意思や家族の事情に合わせた分割が可能
  4. 話し合いで決められない場合は法的手続きに移行する

大切なのは、形式的な平等よりも、故人の意思を尊重し、遺された家族がそれぞれの生活や事情に合った形で遺産を引き継ぐことです。

相続の際には、「法定相続分に従わなければならない」という思い込みにとらわれず、柔軟な発想で話し合いを進めることをお勧めします。

※ただし、遺言がある場合はその内容が優先されますので、ご注意ください。また、遺留分に関する権利は別途考慮が必要な場合があります。

 

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