無効となる遺言
遺言書が無効になるケースは少なくありません。方式とルールに従わない遺言書は無効になる可能性が極めて高いです。遺言書の方式が違うと、作成ルールも違いますので、ここで全部説明するのは不可能ではありますが、ここでいくつかの例を挙げ、ご説明いたします。
まず、自筆証書遺言については、自筆で書く必要があります。パソコンで作成した自筆証書遺言は無効になります。民法968条により、遺言者は、遺言書の全文について自書する必要があります。署名と押印も忘れてはいけません。また、自筆証書遺言については、日付を書く必要があります。日付がなくても遺言書は無効になってしまいます。具体的には、遺言書を作成した年、月,日を特定する必要があります。「2021年の子供の日」という表現では、年、月、日を一応特定できるので、無効にならないとされますが、一方で、「吉日」という表現は無効になります。吉日という表現では作成の年、月、日を特定できないからです。
公正証書遺言については、証人の存在が必要です。しかし、誰でも証人になれるというわけではありません。証人になるためには、証人適格が必要です。証人適格を有しない人が証人なった場合、公正証書遺言は無効になるとされています。また、公正証書遺言を作成した時には、遺言者の口授が必要です。その口授を通じて、遺言者の真意を確保できない場合には、公正証書遺言は無効になります。たとえば、口授者は何も言わずに、頷くだけの場合だと、その頷く行為によっては、口授者の真意を確保できないとされます。
秘密証書遺言については、遺言者は筆者を使うことが可能です。しかし、その筆者の住所を公正人に申述する必要があります。その申述がない場合は、秘密証書遺言は無効になります。
遺言が無効になる原因は、遺言の方式により、ケースバイケースで分析する必要があります。たとえば、自筆証書遺言を作成したいが、手の不自由により、字を書けない場合に、どうすればいいかなどの問題があります。遺言の作成に興味があるが、その効力について心配な方は、一度専門家とのご相談をお勧めします。
名波司法書士事務所は、浜松市にお住まいの皆様からのご相談を承っております。
遺言作成についてお悩みの方はぜひご相談ください。