相続とは
相続という言葉を聞いたことがない人はいないでしょう。相続とは、被相続人の死亡により生じる法律現象の一つです。財物の無主化を防ぐために、亡くなった人の権利と義務を承継する人は通常「相続人」と呼ばれています。亡くなった人本人のことは「被相続人」と呼びます。
遺産の相続についての争いは決して自分の身近では起こらないものとはいえません。また、大きな金額の相続は人の一生を変えてしまうと言っても過言ではないでしょう。
相続人は相続によって、資産を手に入れることが可能な一方、日本での相続は包括承継主義を採用していて、資産を相続すると同時に、被相続人の債務も相続しなければなりません。仮に、被相続人の債務が資産より多い場合、相続人は相続でお金持ちになれない一方で、膨大な借金を背負う人になってしまいます。自分ではお金を借りたこともないのに、被相続人の死亡によって相続人がたくさんの借金を負ってしまう悲惨な状況を防ぐために、民法上、相続の選択という法行為が作られました。
相続の選択の中では、主に三つの選択肢があります。単純承認、限定承認と相続放棄です。相続放棄を選んだ方は、被相続人のすべての権利義務を相続しなくなります。その一方で、単純承認を選んだ方は、被相続人のすべての権利義務を相続します。相続の選択という方法で、相続人の尊重した上で財物の無主化を防ぎます。しかし、相続の選択を期間の制限なく永遠に認めると、相続に関する法律関係が不安定になりがちです。そのため、相続の選択をする際には、一定の期間の制限があります。このような期間は熟慮期間だと呼ばれています。熟慮期間が過ぎると、相続の選択をすることができなくなります。仮に、被相続人の債務が資産より多いとしても、相続人はその債務を全部引き受けなければなりません。
相続についての争いは、財産の範囲の確定に限りません。遺言書の効力についても、よく争われます。仮に、遺言書が有効だと証明されたとしても、遺言書の内容が遺留分を侵害している可能性もあります。遺留分が侵害された場合に、遺留分侵害請求権を行使することができます。遺留分侵害請求権も相続の選択と同じように、いつになるとしても、行使することができるというわけではありません。遺留分侵害請求権の行使についても、一定の期間を過ぎたら、行使が不可能になるとされています。
相続問題は、人の死亡により生じる問題なので、身近な問題と言えるでしょう。しかし、膨大な遺産の相続により、相続人の生活に膨大な影響を与える恐れがあります。相続問題をうまく処理できなければ、膨大な借金を負ってしまうリスクがあり、結局取り戻せない損害を負ってしまう可能性が高いです。たとえば、遺産の範囲をはっきり把握できないままに、軽い気持ちで相続を単純承認してしまう場合です。そのため、相続問題に直面した場合には、早いうちに、一度専門家とのご相談をお勧めします。
名波司法書士事務所は、浜松市にお住まいの皆様からのご相談を承っております。
相続問題でお困りの方はぜひご相談ください。