コラム

相続関係説明図と法定相続情報一覧図の違い:あなたはどちらを作るべきか

相続手続きを調べ始めると、「相続関係説明図」と「法定相続情報一覧図」という、よく似た名前の書類が出てきます。

どちらも、亡くなった方(被相続人)と相続人の関係を、家系図のように1枚にまとめた図です。

「名前が似ているけれど、何が違うのか」

「自分の場合は、どちらを作ればよいのか」

「両方作る必要があるのか」

このように迷われる方は少なくありません。

この記事では、2つの書類の違いを整理したうえで、どちらを作るべきかの判断基準をご案内します。

結論:違いは「法務局の認証があるかどうか」

先に結論をお伝えします。

2つの書類の最も大きな違いは、法務局の認証を受けた公的な書類かどうかです。

  • 法定相続情報一覧図:法務局へ申出を行い、登記官の認証を受ける公的な書類。認証を受けた「写し」は、戸籍謄本の束の代わりとして複数の相続手続きで使える
  • 相続関係説明図:決まった様式のない任意の書類。主に、相続登記の際に戸籍謄本の原本を返してもらう(原本還付)ために添付する

つまり、「手続き先が多いなら法定相続情報一覧図」「手続き先が少ない、または一覧図に書けない事情があるなら相続関係説明図」というのが、大まかな使い分けです。

以下、順に詳しく見ていきましょう。

法定相続情報一覧図とは

法定相続情報一覧図は、平成29年(2017年)に始まった「法定相続情報証明制度」に基づく書類です。

被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本などを集め、相続人の関係を1枚の図にまとめて法務局へ申出をすると、登記官が内容を確認し、認証文付きの「法定相続情報一覧図の写し」を交付してくれます。

この写し1枚が、戸籍謄本の束の代わりになります。

法定相続情報一覧図のメリット

  • 不動産の相続登記、銀行の預貯金解約、証券会社の名義変更などで、戸籍謄本の束の代わりに提出できる
  • 交付は無料。必要な枚数を受け取れるため、複数の手続きを同時に進められる
  • 申出から5年間は法務局に保管され、再交付を受けられる

被相続人が複数の銀行に口座を持っていた場合や、不動産と預貯金の両方がある場合には、手続きごとに戸籍の束を出し、返却を待って次へ、という時間のロスがなくなります。

法定相続情報一覧図の注意点

一方で、一覧図には限界もあります。

  • 一覧図が証明するのは「誰が法定相続人か」だけ。相続放棄をした事実や、遺産分割の内容は記載されない
  • 数次相続(相続手続き中に相続人が亡くなり、次の相続が発生した場合)は、1枚の一覧図にまとめて書くことができず、被相続人ごとに別々の一覧図が必要になる
  • 作成には、被相続人の出生から死亡までの戸籍一式を集める手間がかかる

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相続関係説明図とは

相続関係説明図は、法律で様式が決められていない、任意で作成する図です。

主な使い道は、相続登記の際に戸籍謄本の原本を返してもらう(原本還付を受ける)ことです。登記申請の際、戸籍謄本の束と一緒に相続関係説明図を提出すると、登記完了後に戸籍の原本を返却してもらえます。

相続関係説明図のメリット

  • 法務局の認証手続きが不要なので、すぐに作れる
  • 様式が自由なため、相続放棄をした人がいる場合や、数次相続の関係も1枚に書き込める
  • 手続き先が1〜2か所しかない場合は、一覧図の申出をするより早く進むことがある

相続関係説明図の注意点

  • 公的な証明力はないため、戸籍謄本の束そのものは手続きのたびに必要
  • 銀行など提出先によっては、説明図とは別に相続放棄受理証明書などの書類を求められる

一覧表で比較する

法定相続情報一覧図 相続関係説明図
法務局の認証 あり(公的書類) なし(任意の書類)
費用 交付は無料 作成自体は無料
戸籍の束の代わりになるか なる(提出先による) ならない(原本還付用)
相続放棄・数次相続の記載 できない できる
手間 法務局への申出が必要 すぐに作成できる
向いている人 手続き先が多い方 手続き先が少ない方・一覧図に書けない事情がある方

あなたはどちらを作るべきか:3つの判断基準

基準1:手続き先の数

銀行・証券会社・法務局(相続登記)など、戸籍の束を提出する先が3か所以上あるなら、法定相続情報一覧図を作る価値は十分にあります。

手続き先が1〜2か所であれば、相続関係説明図と戸籍の束で進めた方が早い場合もあります。

基準2:相続放棄や数次相続があるか

相続放棄をした相続人がいる場合や、数次相続が発生している場合、法定相続情報一覧図だけでは相続関係のすべてを示せません。

このようなケースでは、相続関係説明図を併用するか、そもそもの進め方を含めて専門家に確認することをおすすめします。

基準3:相続税の申告があるか

相続税の申告では、一定の要件を満たした法定相続情報一覧図の写し(図形式のもの)を戸籍謄本の代わりに使える場合があります。

申告が必要な規模の相続では、一覧図を作っておくと後の手続きがスムーズです。

法定相続情報一覧図を作ると決めた方へ:まず下書きから

「一覧図を作ろう」と決めても、法務局の記載例を見ながらいきなり完成版を作るのは、なかなか大変です。

相続サプリの「法定相続情報一覧図 かんたん作成アプリ」は、質問に沿って入力するだけで、一覧図の下書きを無料で作成できるツールです。

戸籍を見ながら家族関係を入力し、まずは相続人の関係を見える形にしてみてください。

>>法定相続情報一覧図 かんたん作成アプリは、こちら<<

※アプリで作成できるのは、法務局へ申出する前の下書きです。戸籍・除籍謄本などの記載と一致しているかは、必ずご確認ください。

あわせて、法務局の公式ページで様式・記載例・必要書類を確認しながら進めると安心です。

>>法務局|法定相続情報証明制度の具体的な手続について<<

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判断に迷う方・複雑な事情がある方へ

次のような場合は、どちらの書類を作るかの判断自体が難しくなります。

  • 相続放棄をした人がいる、またはこれから放棄を検討している
  • 相続手続きの途中で相続人が亡くなった(数次相続)
  • 再婚・養子縁組があり、相続人の範囲に自信がない
  • 相続登記から銀行手続きまで、まとめて任せてしまいたい

このような場合は、書類を作り始める前に、一度司法書士へご相談ください。状況を整理したうえで、必要な書類と進め方をご案内します。

当事務所では、法定相続情報一覧図の取得代行も承っております。

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