法定相続人でなくても死亡届は出せる?内縁の妻や死後事務受任者の場合を解説

身近な方が亡くなったとき、最初に必要となる手続の一つが「死亡届」です。
一般には配偶者や子などの法定相続人が提出するイメージがありますが、届出人は相続人に限られません。
たとえば、亡くなった方と同居していた内縁の妻や、任意後見人・任意後見受任者が届け出られる場合があります。
一方、死後事務委任契約の受任者であるという事情だけでは、当然に届出資格を得るわけではありません。
死亡届を出せる人と相続人は同じではありません
死亡届の届出資格は戸籍法、法定相続人の範囲は主に民法で定められており、別の問題です。
相続権がない人でも戸籍法上の資格があれば死亡届を提出でき、死亡届を出しただけで相続権が生じることもありません。
死亡届を提出できる人
1.同居の親族
法律上の配偶者、子、親、兄弟姉妹など、亡くなった方と同居していた親族です。
2.親族ではない同居者
同居していた内縁の妻・夫、パートナー、友人などは「その他の同居者」として届け出られます。
内縁の配偶者は原則として法定相続人ではありませんが、同居者としての届出資格は認められます。
3.家主・地主・管理人
家主、地主、家屋管理人、土地管理人も届出人になれます。
独居の賃借人が亡くなった場合などに、建物の所有者や管理人が届け出ることがあります。
4.同居していない親族
別居している子、兄弟姉妹、法律上の配偶者なども、戸籍法第87条第2項により死亡届を提出できます。
5.成年後見人など
成年後見人、保佐人、補助人、任意後見人、任意後見受任者にも届出資格があります。
内縁の妻は死亡届を出せる?
同居していた場合は「その他の同居者」として提出できます。
死後事務委任契約がなくても、同居者として届け出ることが可能です。
別居していた場合は、内縁関係だけでは原則として届出人になれません。
ただし、任意後見受任者など別の法定資格を有する場合は、その資格で提出できます。
死後事務委任契約だけで届出人になれる?
死後事務委任契約は、葬儀・火葬、納骨、病院や施設費の精算、公共料金の解約、住居の明渡し、遺品整理などを任せる契約です。
しかし、戸籍法第87条に「死後事務委任契約の受任者」は明記されていません。
したがって、受任者という立場だけで当然に死亡届へ署名できるとは限りません。
受任者が親族、同居者、家主・管理人、成年後見人、任意後見人・任意後見受任者などにも該当すれば、その資格に基づいて届け出られます。
任意後見受任者であれば死亡届を出せます
任意後見契約が発効した後の「任意後見人」だけでなく、家庭裁判所による任意後見監督人選任前の「任意後見受任者」も、現在の戸籍法上、死亡届を提出できます。
資格確認のため、任意後見契約の登記事項証明書などを求められることがあります。
「届出人」と「役所へ持っていく人」は別です
届出人は、届出人欄に記載して署名する、戸籍法上の資格を持つ人です。使者は、適法な届出人が記入した届書を窓口へ持参する人です。
葬儀会社や死後事務受任者が使者として提出する場合でも、その人自身が届出人になるとは限りません。
提出期限と提出先
国内で死亡した場合は、死亡の事実を知った日から7日以内です。国外で死亡した場合は3か月以内です。
死亡者の死亡地・本籍地または届出人の所在地の市区町村へ、死亡診断書または死体検案書を添えて提出します。
法定相続人でない人に死後の手続を任せる備え
- 任意後見契約:判断能力が低下した後の財産管理や生活上の支援
- 死後事務委任契約:葬儀、納骨、住居の明渡し、契約解約など死亡後の事務
- 遺言書:財産を誰に引き継いでもらうかの指定
三つの制度は目的が異なります。
身近に頼れる親族がいない場合や内縁の配偶者へ手続を任せたい場合は、一つの契約だけで済ませず、届出資格も含めて全体を整えることが重要です。
まとめ
法定相続人でなくても、同居者や任意後見受任者など戸籍法上の資格があれば死亡届を提出できます。
一方、別居する内縁の配偶者や死後事務受任者は、その立場だけでは届出人になれない可能性があります。
実際の書類や資格確認は届出先により案内が異なることがあるため、提出予定の市区町村の戸籍窓口へ事前に確認してください。
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「内縁の配偶者にスムーズに手続きをしてもらいたい」
「身近に頼れる親族がいないため、死後の事務や財産整理を任せておきたい」
死亡届の届出資格をはじめ、葬儀・納骨、住居の明渡し、財産の承継など、亡くなった後の手続きを確実に進めるためには、「死後事務委任契約」「任意後見契約」「遺言書」などを適切に組み合わせることが不可欠です。
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参考情報
作成日:2026年7月31日
執筆・監修:司法書士 名波直紀
名波司法書士事務所 代表
静岡県司法書士会所属・登録番号517
簡裁訴訟代理等関係業務認定番号108040
※本記事は、2026年7月31日現在の法令・公的機関の公表情報に基づいて作成しています。法令や制度は改正されることがありますので、実際の手続にあたっては最新情報をご確認ください。


