法定相続情報一覧図に相続人の住所は書くべき?記載あり・なしで変わる後の手続き

法定相続情報一覧図を作ろうとして様式を見ると、相続人の住所欄について「記載は任意」と書かれていることに気づきます。
「任意なら、書かなくてもいいのか」
「書くと何かいいことがあるのか」
「他の相続人に自分の住所を知られたくないのだが」
実はこの住所欄、書くか書かないかで、後の手続きの手間が変わるポイントです。そして、あえて書かない方がよいケースもあります。
この記事では、住所を記載するメリットと注意点、判断の基準を解説します。
結論:原則は「記載する」がおすすめ。ただし例外あり
先に結論をお伝えします。
特別な事情がなければ、相続人の住所は記載することをおすすめします。
後の相続登記などで、住民票の提出を省略できる場合があるからです。
ただし、次のような方は「記載しない」選択も検討に値します。
- 他の相続人に、自分の現住所を知られたくない
- 近いうちに引っ越しの予定がある
順に説明します。
住所を記載するメリット
相続登記などで住民票の提出を省略できることがある
不動産の相続登記では、新しく名義人となる相続人の住所を証明する書類(住民票の写しなど)の提出が求められます。
このとき、住所が記載された法定相続情報一覧図の写しを提出すれば、住民票の提出を省略できる扱いになっています。
銀行や証券会社の手続きでも、住所入りの一覧図であれば本人確認・住所確認の書類が一部簡略化されることがあります(対応は提出先によって異なります)。
相続人の特定がより確実になる
同姓同名の問題を避け、「この一覧図の相続人と、手続きに来ている人が同一人物である」ことを示しやすくなる、という実務上の利点もあります。
住所を記載する場合に必要な書類
住所を記載する場合は、その裏付けとして、各相続人の住民票の写し(または戸籍の附票) を申出のときに添付する必要があります。
つまり、住所を書くかどうかは、次の比較になります。
- 記載する:申出時に相続人全員分の住民票を集める手間が増える。その代わり、後の手続きで住民票の提出を省略できる場面がある
- 記載しない:申出はその分シンプル。ただし、相続登記などでは別途住民票が必要になる
手続き先が多い相続では、先に一度集めてしまう(記載する)方が、トータルの手間は少なくなることが多いでしょう。
住所を記載しない方がよいケース
ケース1:他の相続人に住所を知られたくない
法定相続情報一覧図には、相続人全員が1枚の図に記載されます。つまり、住所を記載すると、一覧図の写しを見た相続人全員が、お互いの現住所を知ることになります。
相続の現場では、次のようなご事情も珍しくありません。
- 疎遠になっている兄弟姉妹と、直接の連絡を取りたくない
- 前婚の子と後婚の家族が相続人になっており、互いに住所を知らせたくない
- 過去のトラブルから、特定の相続人に居場所を知られたくない
このような場合、住所の記載は任意ですから、記載しないという選択ができます。手続きのたびに住民票を提出する手間は残りますが、プライバシーを優先する判断です。
なお、住所を「書く人」「書かない人」を相続人ごとに分けることも可能です。
ケース2:近いうちに引っ越しの予定がある
一覧図の写しは、申出の翌年から5年間、法務局に保管され、その間は再交付を受けられます。
しかし、交付後に住所が変わっても、一覧図の記載を変更することはできません。引っ越し後に再交付を受けても、出てくるのは古い住所のままの一覧図です。
転居の予定が具体的にある方は、記載しないでおくか、転居後に申出する方がスムーズです。
記載する場合の書き方:住民票のとおりに
住所を記載する場合は、住民票の写しに記載されたとおりに書きます。
- 「1丁目2番3号」を「1-2-3」と略さない(住民票の表記に合わせる)
- マンション名・部屋番号も、住民票に記載があればそのとおりに書く
- 住民票と1文字でも違うと、補正(修正)を求められることがある
ご自身で一覧図を作る場合、この「証明書類との完全一致」が意外なつまずきどころです。氏名・生年月日についても同じで、戸籍の記載と一致させる必要があります。
まず下書きで全体を確認してみましょう
住所欄をどうするか迷っている方も、まずは一覧図の全体像を下書きで作ってみると、判断がしやすくなります。
相続サプリの「法定相続情報一覧図 かんたん作成アプリ」は、質問に沿って入力するだけで、一覧図の下書きを無料で作成できるツールです。
※アプリで作成できるのは、法務局へ申出する前の下書きです。住所・氏名・生年月日が住民票や戸籍の記載と一致しているかは、必ずご確認ください。
様式・記載例は、法務局の公式ページでも確認できます。
判断に迷う事情がある方へ
次のような場合は、住所欄の扱いだけでなく、相続手続き全体の進め方に関わってきますので、事前のご相談をおすすめします。
- 疎遠な相続人・連絡の取れない相続人がいて、手続きの進め方に不安がある
- 前婚の子・養子など、相続人の範囲や関係に複雑な要素がある
- 相続登記や預貯金の手続きまで、まとめて任せてしまいたい
当事務所では、ご事情をうかがったうえで、一覧図の記載内容から手続きの進め方まで、あわせてご提案しています。
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