コラム

遺言書の作り方|自筆証書遺言と公正証書遺言の違い、失敗しないポイントを解説

遺言書の作り方|自分で書く前に知っておきたい大切なポイント

「遺言書を作った方がいいとは思うけれど、何から始めればいいのかわからない」

このようなご相談を受けることがあります。

遺言書というと、財産が多い人や特別な事情がある人だけが作るものと思われがちです。しかし実際には、相続財産の金額にかかわらず、遺言書があるかどうかで、残された家族の負担は大きく変わります。

特に、子どもがいないご夫婦、再婚家庭、兄弟姉妹が相続人になるケース、不動産があるケース、相続人同士の関係に不安があるケースでは、遺言書の有無が相続手続きの進み方を大きく左右します。

この記事では、遺言書の基本的な作り方と、作成前に考えておきたい大切なポイントをわかりやすく解説します。

遺言書には主に2つの作り方があります

遺言書にはいくつか種類がありますが、一般的によく利用されるのは、次の2つです。

1つ目は、自筆証書遺言です。

自筆証書遺言は、遺言者本人が自分で書いて作成する遺言書です。紙とペンがあれば作成できるため、比較的始めやすい方法です。

ただし、本文、日付、氏名を自分で書き、押印するなど、法律で決められた方式を守る必要があります。方式を間違えると、せっかく書いた遺言書が無効になる可能性があります。

2つ目は、公正証書遺言です。

公正証書遺言は、公証役場で公証人に作成してもらう遺言書です。証人2名の立会いが必要ですが、方式面での安心感が高く、原本が公証役場に保管されるため、紛失や改ざんの心配が少ない方法です。

「費用を抑えてまず作りたい」という場合は自筆証書遺言、「確実性を重視したい」「相続人同士の関係に不安がある」という場合は公正証書遺言が向いていることが多いです。

自筆証書遺言の基本的な作り方

自筆証書遺言を作る場合、まずは次の内容を整理します。

誰に、どの財産を、どのように引き継いでもらいたいのか。

これが遺言書の中心になります。

たとえば、自宅を長男に相続させたい、預貯金を妻に相続させたい、特定の不動産だけは特定の人に引き継いでもらいたい、というように、財産ごとに具体的に考えていきます。

自筆証書遺言を書くときは、次の点に注意が必要です。

本文は本人が自書すること。
作成日を明確に書くこと。
氏名を自書し、押印すること。
誰に何を渡すのかを具体的に書くこと。
財産の表示をできるだけ正確に書くこと。

特に不動産については、「自宅を長男へ」とだけ書くよりも、登記事項証明書などを確認し、土地や建物を特定できるように記載することが大切です。

また、財産目録については、一定の要件を満たせばパソコンで作成したものや通帳のコピー、不動産の登記事項証明書などを添付する方法もあります。ただし、その場合も各ページへの署名押印など、注意すべき点があります。

遺言書でよくある失敗

遺言書は、ただ気持ちを書けばよいというものではありません。

よくある失敗として、次のようなものがあります。

まず、日付が不明確なケースです。

「令和○年○月吉日」と書いてしまうと、具体的な作成日がわからず、問題になることがあります。日付は「令和○年○月○日」のように、年月日を明確に書く必要があります。

次に、財産の書き方があいまいなケースです。

「不動産は長男に任せる」「預金は妻に渡す」といった表現では、どの財産を指しているのか、手続きの場面で問題になることがあります。

また、相続人の気持ちや人間関係を考えずに作成してしまうケースもあります。

法律上は有効な遺言書であっても、残された家族が納得できなければ、相続後に不満や争いが生じることがあります。遺言書は、財産を分ける書類であると同時に、残された家族へのメッセージでもあります。

法務局の自筆証書遺言書保管制度とは

自筆証書遺言は、自宅で保管していると、紛失したり、相続人に発見されなかったりするリスクがあります。

その対策として、法務局で自筆証書遺言書を保管してもらう制度があります。

この制度を利用すると、遺言書の紛失や改ざんのリスクを減らすことができます。また、相続開始後の家庭裁判所での検認手続きが不要になるというメリットもあります。

ただし、注意点もあります。

法務局は、遺言書の形式面を確認して保管してくれますが、遺言の内容が家族関係に合っているか、相続トラブルを防げる内容になっているかまでは判断してくれません。

つまり、「保管してもらったから安心」ではなく、「内容が本当に自分の家族に合っているか」を確認することが大切です。

公正証書遺言が向いているケース

次のような場合は、公正証書遺言を検討する価値があります。

相続人同士の関係に不安がある。
子どもがいない夫婦で、兄弟姉妹や甥姪が相続人になる可能性がある。
不動産が複数ある。
再婚している。
特定の相続人に多く財産を残したい。
認知症になる前に、確実な形で意思を残しておきたい。
将来、遺言書の有効性を争われる可能性がある。

公正証書遺言は、自筆証書遺言より費用はかかりますが、作成時の本人確認や意思確認が行われ、公証役場に原本が保管されるため、後日のトラブル予防に役立ちます。

特に、認知症が心配な方や、相続人の間に感情的な対立がある場合は、早めに専門家へ相談しながら作成することをおすすめします。

遺言書を作る前に考えるべきこと

遺言書を作るときに大切なのは、いきなり文章を書き始めないことです。

まず考えるべきことは、次の3つです。

1つ目は、財産の整理です。

預貯金、不動産、株式、生命保険、借入金など、自分の財産を一覧にします。財産の全体像がわからないまま遺言書を作ると、書き漏れや手続き上の問題が起こりやすくなります。

2つ目は、相続人の確認です。

誰が相続人になるのかを正確に確認する必要があります。特に、子どもがいない場合、兄弟姉妹や甥姪が相続人になることがあります。「妻が全部相続すると思っていた」という思い込みが、後々のトラブルにつながることもあります。

3つ目は、家族関係の整理です。

誰にどの財産を渡すかだけでなく、なぜそのようにしたいのか、残された家族がどう受け止めるのかを考えることが大切です。

遺言書は、単なる手続き書類ではありません。ご自身の想いを整理し、家族の将来の不安を減らすための大切な準備です。

遺言書は「作ること」より「使えること」が大切

遺言書は、作っただけでは意味がありません。

相続が発生したときに、実際の手続きで使える内容になっていることが重要です。

たとえば、不動産の表示が不正確だったり、預貯金の記載があいまいだったり、相続人の一部への配慮が不足していたりすると、手続きがスムーズに進まないことがあります。

また、遺言書を作成した後に、財産状況や家族関係が変わることもあります。そのため、一度作成した遺言書も、定期的に見直すことが大切です。

特に、次のような変化があった場合は、見直しをおすすめします。

不動産を売却した。
預貯金や財産内容が大きく変わった。
家族が亡くなった。
相続人との関係が変わった。
認知症や介護への不安が出てきた。
施設入所や財産管理の問題が現実になってきた。

遺言書の作成は早めの相談が大切です

遺言書は、判断能力があるうちにしか作成できません。

「まだ元気だから大丈夫」と思っているうちに、認知症や病気によって判断能力に不安が生じると、遺言書の作成自体が難しくなることがあります。

また、遺言書だけでなく、認知症になった後の財産管理についても、あわせて考えておく必要があります。

遺言書は亡くなった後の相続対策です。一方で、認知症対策は生きている間の財産管理対策です。

この2つを別々に考えるのではなく、認知症対策と相続対策を一体で考えることが、家族の安心につながります。

まとめ

遺言書の作り方には、自分で書く自筆証書遺言と、公証役場で作成する公正証書遺言があります。

自筆証書遺言は手軽に作れる一方で、方式の間違いや内容のあいまいさに注意が必要です。公正証書遺言は費用がかかりますが、確実性を重視したい場合や、相続トラブルを防ぎたい場合に有効です。

大切なのは、遺言書を「書くこと」そのものではありません。

自分の想いが正しく伝わり、残された家族が困らず、相続手続きで実際に使える遺言書を作ることです。

名波司法書士事務所では、遺言書の作成だけでなく、ご家族の関係性や認知症への不安も含めて、将来の相続対策を一緒に整理しています。

「自分の場合、遺言書を作った方がよいのか」
「自筆証書遺言と公正証書遺言のどちらがよいのか」
「親が元気なうちに何を準備すればよいのか」

このようなお悩みがある方は、お早めにご相談ください。

遺言書は、家族に財産を残すためだけのものではありません。
大切な人が相続で困らないように、今できる準備をするためのものです。

遺言書作成

>>遺言書作成相談<<

遺言書は、書き方だけでなく“家族に合った内容”になっているかが大切です。ご自身や親御さんの状況に合わせて、まずは一度ご相談ください。

名波直紀

0120773075
AI

ご利用上の注意