遺言書での預貯金・有価証券の書き方:金融機関・支店・口座の特定のコツ

預貯金や株式は、不動産に比べれば書き方の自由度が高いものの、特定が曖昧だと金融機関の相続手続きで余計な照会や協議を招きます。
死後の手続きから逆算した書き方のコツをまとめます。
預貯金の基本形:4点セットで特定する
銀行名・支店名・口座種別・口座番号の4点で特定するのが基本です。
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第2条 遺言者は、遺言者名義の次の預金を、長男 名波太郎に相続させる。
◯◯銀行 ◯◯支店 普通預金 口座番号1234567
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通帳のコピーを財産目録として添付する方式なら、書き写しミスを防げます(財産目録の作り方)。
ゆうちょ銀行は支店ではなく「記号・番号」で特定します。
コツ1:口座番号が変わるリスクに備える「包括的な書き方」
遺言を書いてから相続発生までは何年もあります。
その間に定期の満期・口座の統合・支店の統廃合が起きると、番号での特定が空振りになりかねません。
実務では、個別列挙に加えて受け皿となる包括条項を置きます。
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第◯条 遺言者は、前各条に記載のない預貯金その他一切の金融資産を、
妻 名波花子に相続させる。
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この一条があるだけで、「書いていない財産をめぐる協議」を防げます。
コツ2:金額は書かない
「◯◯銀行の預金1,000万円を長男に」という書き方は避けてください。
残高は日々変動し、相続時に金額が一致しないと解釈問題が生じます。口座単位・割合単位で書くのが原則です。
複数人に分けたい場合は「◯◯銀行◯◯支店の普通預金を、妻に3分の2、長男に3分の1の割合で相続させる」のように割合で指定します。
株式・投資信託の書き方
上場株式や投資信託は、証券会社名・支店(取扱店)・銘柄・数量で特定します。
ただし銘柄や数量は変動するため、「◯◯証券◯◯支店の口座で保有する株式、投資信託その他一切の金融商品」と口座単位でまとめて書くのが実務的です。
非上場株式(自社株)は発行会社名と株数で特定します(事業承継が絡む場合は事業承継の遺言をご覧ください)。
ネット銀行・ネット証券の注意
通帳がないネット銀行・ネット証券は、家族がその存在に気づけないリスクが最も高い財産です。
遺言や財産目録に明記することが、そのまま「財産の発見装置」になります。ID・パスワードは遺言本体には書かず、エンディングノート等で別途管理してください。
遺言は死後に開示される書類であり、生前の情報管理には向きません。
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よくある失敗
- 口座の書き漏れ → 包括条項で受け止める。
- 解約済みの口座を書いていた → その条項は空振りになるだけですが、定期的な見直しを(見直しのタイミング)。
- 家族が口座の存在を知らない → 目録が発見装置になります。ネット口座は特に明記を。
まとめ
預貯金や有価証券を遺言書に記載する際のポイントは、
「4点セットで正確に特定する」
「包括条項で書き漏れや変動を受け止める」
「口座単位や割合で指定し、金額は直接書かない」
の3点です。
特にネット銀行やネット証券は家族が見落としやすいため、遺言書や財産目録に明記しておくことがそのまま「財産の発見装置」となります。
当事務所では、地元の主要金融機関やネット口座における実際の相続手続きから逆算し、不備のない遺言書作成をサポートしております。
「自分の書き方でスムーズに手続きができるか不安」という方は、どうぞお気軽にご相談ください。
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作成日:2026年8月2日
執筆・監修:司法書士 名波直紀
名波司法書士事務所 代表
静岡県司法書士会所属・登録番号517
簡裁訴訟代理等関係業務認定番号108040
※本記事は、2026年8月2日現在の法令・公的機関の公表情報に基づいて作成しています。法令や制度は改正されることがありますので、実際の手続にあたっては最新情報をご確認ください。


