コラム

自筆証書遺言を自分で作りたい方へ

自筆証書遺言を自分で作りたい方へ

失敗しないために知っておきたい5つのポイント

自筆証書遺言は、ご自身で作成できる遺言書です。

公正証書遺言に比べて費用を抑えやすく、思い立ったときに作成しやすいというメリットがあります。

また、法務局の自筆証書遺言書保管制度を利用すれば、遺言書の紛失や改ざんを防ぎやすくなり、相続開始後の家庭裁判所の検認も不要になります。

そのため、

「まずは自分で遺言書を書いてみたい」
「できるだけ費用を抑えて準備したい」
「法務局の保管制度を使えば安心なのでは」

と考える方も増えています。

しかし、自筆証書遺言は、手軽に作れる一方で、注意すべき点もあります。

形式を間違えると無効になる可能性があります。
不動産の表示が不十分だと、相続手続きで困ることがあります。
法務局に預けても、内容まで確認してもらえるわけではありません。
さらに、遺言書は亡くなった後の対策であり、認知症になった後の財産管理対策にはなりません。

そこで、このページでは、自筆証書遺言を作成する前に知っておきたい5つのポイントをまとめました。


1. 遺言書だけでは認知症対策にならない理由

遺言書は、亡くなった後に財産を誰へ引き継ぐかを決めるための文書です。

しかし、認知症になった後の預貯金管理、実家の売却、介護費用の支払いなど、生きている間の財産管理には対応できません。

たとえば、親が認知症になった後に、

  • 親の預貯金を介護費用に使いたい
  • 実家を売却して施設費用に充てたい
  • 空き家になった不動産を管理したい

と思っても、遺言書だけでは解決できない場合があります。

認知症対策としては、任意後見契約、財産管理契約、家族信託など、別の備えが必要になることがあります。

遺言書は「亡くなった後」の対策。
認知症対策は「生きている間」の財産管理対策。

この違いを理解しておくことが大切です。

▶ 詳しくはこちら
「遺言書だけでは認知症対策にならない理由」

遺言書


2. 自筆証書遺言の財産目録は印刷できる?

自筆証書遺言というと、すべてを手書きしなければならないと思われがちです。

たしかに、遺言書の本文、日付、氏名などは、原則として遺言者ご本人が自書する必要があります。

しかし、財産目録については、パソコンで作成したものや、登記事項証明書、預貯金通帳のコピーなどを添付することができます。

これは、自筆証書遺言を作成する方にとって、とても便利な仕組みです。

特に不動産については、所在、地番、家屋番号、地積、床面積などを手書きで正確に書くのは大変です。

財産目録を印刷して添付できることで、転記ミスを防ぎやすくなります。

ただし、自書によらない財産目録を添付する場合は、各ページに遺言者本人の署名押印が必要です。
また、財産目録は遺言書本文とは別の用紙で作成する必要があります。

便利な制度ですが、形式面の注意も必要です。

▶ 詳しくはこちら
「自筆証書遺言の財産目録は印刷できる?」

財産目録


3. 法務局に預ければ安心?自筆証書遺言書保管制度の注意点

法務局の自筆証書遺言書保管制度は、とても便利な制度です。

遺言書を法務局で保管してもらうことで、紛失や改ざんを防ぎやすくなります。
また、相続開始後の家庭裁判所の検認も不要になります。

ただし、注意したいのは、法務局が確認してくれるのは主に形式面であるということです。

たとえば、

  • 日付があるか
  • 氏名があるか
  • 押印があるか
  • 用紙や余白などの様式に合っているか

といった外形的な確認は受けられます。

しかし、

  • 遺言書の内容が家族関係に合っているか
  • 不動産の表示が正確か
  • 遺留分への配慮が必要か
  • 受け取る人が先に亡くなった場合の備えがあるか
  • 認知症対策まで十分か

といった点までは確認してくれません。

つまり、法務局に預けることと、相続手続きで安心して使える遺言書であることは別問題です。

▶ 詳しくはこちら
「法務局に預ければ安心?自筆証書遺言書保管制度で確認してくれること・してくれないこと」

自筆証書遺言書


4. 自筆証書遺言で住所を書いてはいけない?

自筆証書遺言で不動産を書くときに、よくある間違いが「住所」を書いてしまうことです。

たとえば、

「浜松市中央区〇〇町〇番〇号の自宅を長男に相続させる」

と書けば十分だと思われる方がいます。

しかし、日常生活で使っている住所と、登記簿上の不動産の表示は、必ずしも同じではありません。

土地は、所在・地番・地目・地積によって特定されます。
建物は、所在・家屋番号・種類・構造・床面積などによって特定されます。

また、自宅といっても、土地、建物、私道部分、共有持分、未登記建物などが関係していることがあります。

不動産の表示があいまいだと、相続登記や相続手続きでご家族が困ることがあります。

自筆証書遺言で不動産を記載する場合は、登記情報に基づいて正確に表示することが大切です。

▶ 詳しくはこちら
「自筆証書遺言で住所を書いてはいけない?不動産表示で間違いやすいポイント」

遺言書


5. 遺言書に使える不動産表示作成サービス

自筆証書遺言や法務局の自筆証書遺言書保管制度を利用したい方にとって、不動産表示は特に間違いやすい部分です。

そこで、名波司法書士事務所では、
遺言書に使える不動産表示作成サービス
をご用意しています。

当事務所が登記情報を確認したうえで、遺言書に使いやすい不動産表示データを作成し、メールで納品します。

財産目録として印刷・添付しやすい形でご利用いただけます。

サービス内容

  • 土地の表示
  • 建物の表示
  • 共有持分がある場合の持分表示
  • 複数不動産がある場合の一覧
  • 財産目録として利用しやすい不動産表示データ
  • 不動産表示に関する簡単な注意事項

料金

11,000円(税込)+実費

※基本料金には、土地・建物あわせて3件までの不動産表示作成を含みます。
※4件目以降や、私道、共有持分、未登記建物、名義不一致など複雑な事情がある場合は、追加料金が発生する場合があります。

▶ 詳しくはこちら
「遺言書に使える不動産表示作成サービス」

遺言書


自筆証書遺言は便利ですが、自己流には注意が必要です

自筆証書遺言は、費用を抑えて作成できる便利な方法です。

法務局の保管制度を利用すれば、紛失や改ざんのリスクも減らせます。

財産目録も印刷して添付できるため、不動産や預貯金を整理しやすくなっています。

しかし、便利になったからこそ、自己流で進めてしまう危険もあります。

遺言書は、亡くなった後にご本人が説明できない文書です。

だからこそ、

  • 誰に何を渡すのか
  • 不動産が正確に特定されているか
  • 財産目録と本文が対応しているか
  • 遺言執行者を指定する必要があるか
  • 受け取る人が先に亡くなった場合を考えているか
  • 認知症対策も必要ではないか

といった点を、事前に整理しておくことが大切です。


高額なサービスか、安い自己流か、だけではありません

遺言書の作成方法は、
「高額なサービスを利用する」
または
「すべて自分で安く済ませる」
の二択だけではありません。

必要な部分だけ専門家に確認してもらう。
不動産表示だけ正確に整える。
遺言書全体に不安がある場合は個別相談を利用する。
認知症対策が必要かどうかを確認する。

このように、ご自身の状況に合わせて、適切な費用で専門家の関与を入れることもできます。

名波司法書士事務所では、遺言書を「作って終わり」とは考えていません。

ご家族の関係、財産の内容、認知症リスク、相続後の手続きまで見据えて、必要な対策を一緒に整理することを大切にしています。


まとめ

自筆証書遺言は、上手に活用すれば、費用を抑えながら相続対策を進めることができます。

しかし、法務局に預ければすべて安心というわけではありません。
財産目録を印刷できるからといって、内容確認が不要になるわけでもありません。
不動産を住所だけで書けば足りるとは限りません。
そして、遺言書だけでは認知症対策にならないこともあります。

大切なのは、
自分の家族にとって、どこまで準備すれば安心なのかを整理すること
です。

自筆証書遺言を作りたい方、法務局保管制度を利用したい方、不動産の表示に不安がある方は、まずは関連する記事を確認し、ご自身に必要な対策を整理してみてください。

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