戸籍の名前が旧字体・異体字のとき、一覧図はどちらで書く?

一覧図を作ろうと戸籍を開いたら、名前の字が普段使っているものと違う——「渡辺」だと思っていたら戸籍は「渡邊」、「高橋」が「髙橋」、「崎」が「﨑」。
「一覧図には、どちらの字で書けばいいのか」
「パソコンで変換しても出てこない字は、どうすればいいのか」
小さな論点に見えますが、氏名の字体違いは、法務局で補正を求められる原因の筆頭格です。
この記事で正しい対処を押さえてください。
原則:戸籍の記載どおりに書く
法定相続情報一覧図は、戸籍の記載に基づいて相続関係を証明する書類です。
したがって、氏名は戸籍に記載された字体のとおりに書くのが原則です。
- 戸籍が「邊」なら一覧図も「邊」(「辺」に直さない)
- 戸籍が「髙」なら「髙」(「高」にしない)
- 「濵」「德」「栁」「瀨」なども同様です
普段の生活で常用漢字を使っていても、公的な証明のうえでは戸籍の字が本来の氏名です。
パソコンで出ない字への対処
多くの旧字体・異体字は、パソコンでも入力できます(「わたなべ」の変換候補を送っていくと「邊」「邉」などが出てきます)。
それでも出てこない字に当たったら、次の順で対処してください。
- 入力方法を変えて探す:IMEの手書きパッド、文字一覧(IMEパッド)、部首検索などで見つかることが多いです
- それでも出ない字は、その部分だけ手書きで補記する:一覧図はパソコン作成と手書きの併用が可能です。印刷後、該当の文字だけ黒のボールペン等で丁寧に記入します
- 勝手に似た字で代用しない:「面倒だから常用漢字で」と置き換えると、戸籍と不一致になり補正の対象です
なお、戸籍がコンピュータ化される際に、字体が職権で現在の通用字体に整理されている場合もあります。
最新の戸籍の記載を正として確認してください。
住民票と戸籍で字体が違って見えるとき
「戸籍は『邊』なのに、住民票の印字は『辺』に見える」——システムの外字対応の関係で、書類によって印字のされ方が異なることがあります。
一覧図の氏名は戸籍が基準です。
住所は住民票が基準です。
それぞれの証明書類の記載に合わせて書き、判断に迷う字が出てきた場合は、申出前に法務局へ確認するのが確実です(電話でも相談できます)。
「先代の戸籍が読めない」問題
旧字体の悩みは、氏名だけではありません。
昭和初期以前の戸籍は毛筆の手書きで、変体仮名や旧字が混ざり、そもそも読めないことがよくあります。
- 地名・続柄の読み違いは、遡り先の請求ミス(違う市区町村に請求してしまう)につながります
- 読み取りに自信がない場合、発行元の市区町村窓口で尋ねると教えてもらえることもあります
古い戸籍の解読は、司法書士が日常的に行っている作業です。
読めない戸籍を前に手が止まってしまったら、その部分だけでもご相談ください。
下書き→原本照合、の順で
一覧図の下書きは、相続サプリの「法定相続情報一覧図 かんたん作成アプリ」で作成できます。
完成後、氏名の一字一字を戸籍の原本と指差しで照合する——旧字体対策は、結局この一手間に尽きます。
字のことで止まってしまった方へ
「この字が出せない」「この戸籍が読めない」——それだけの理由で相続手続きが何週間も止まってしまうのは、もったいないことです。
書類一式をお持ちいただければ、読み取り・表記の確認から申出まで、まとめてお手伝いします。
ご相談のお申し込み・お問い合わせ
公開日:2026年8月12日
最終更新日:2026年7月28日
執筆・監修:司法書士 名波直紀
名波司法書士事務所 代表
静岡県司法書士会所属・登録番号517
簡裁訴訟代理等関係業務認定番号108040
※本記事は、2026年7月28日現在の法令・公的機関の公表情報に基づいて作成しています。法令や制度は改正されることがありますので、実際の手続にあたっては最新情報をご確認ください。


