相続税申告に法定相続情報一覧図を使う条件:図形式・続柄の要件

相続税の申告には、相続人を明らかにする書類として戸籍謄本一式の添付が必要です。
この戸籍の代わりに、法定相続情報一覧図の写しを使うことができます。
ただし、どんな一覧図でもよいわけではなく、満たすべき要件が2つあります。
これを知らずに一覧図を作ってしまうと、税務では使えず、結局戸籍一式を出し直すことになります。
一覧図を「これから作る」段階の方にこそ読んでいただきたい記事です。
要件1:図形式であること(列挙形式は不可)
一覧図には、家系図のように線で結ぶ「図形式」と、相続人を箇条書きにする「列挙形式」の2つの作り方があります。
どちらでも法務局の認証は受けられますが、相続税の申告で使えるのは図形式だけです。
列挙形式は作るのが簡単な半面、この用途制限があります。
相続税申告の可能性が少しでもあるなら、図形式で作っておきましょう。
要件2:続柄が戸籍どおりに記載されていること
一覧図の続柄は、「長男」「長女」「養子」など戸籍に記載されたとおりに書く方法と、「子」とまとめて書く方法が選べます。
相続税申告に使えるのは、戸籍どおりの続柄で記載されたものです。
「子」とまとめた一覧図は使えません。
これは、相続税の計算では実子か養子かの区別が必要だからです(基礎控除などの計算で、法定相続人の数に含められる養子の数に制限があるため)。
続柄が「子」では、この区別がつきません。
関連記事
続柄は「長男」と「子」どちらで書く?相続税申告で使えなくなるケースに注意
養子がいる場合は、養子の戸籍も必要
被相続人に養子がいる場合は、一覧図に加えて養子の戸籍謄本(または抄本)の添付が必要とされています。
一覧図だけでは縁組の詳細まで確認できないためです。
関連記事
養子がいる場合の法定相続情報一覧図:続柄の書き方と相続税申告で注意すべき点
提出はコピーでも可とされています
相続税の申告では、法定相続情報一覧図の写しはコピーの提出でも差し支えないとされています(原本の認証文付きの写しからコピーしたもの)。
手続き先が多い場合でも、税務署用に原本を1枚使い切る必要はありません。
※取り扱いの詳細は国税庁の案内・所轄税務署でご確認ください。
申告期限から逆算した段取り
相続税の申告・納付の期限は、相続の開始を知った日の翌日から10か月以内です。
一覧図の交付には、戸籍集め(数週間〜)+法務局の認証(1〜2週間)がかかります。
遺産分割協議や財産評価の時間も考えると、一覧図の準備は相続後できるだけ早く着手するのが安全です。
税理士に申告を依頼する場合も、一覧図があれば税理士側の相続人確認がスムーズになり、全体の進行が早まります。
これから一覧図を作る方へ:最初から「税務対応」の形で
まとめると、相続税申告を見据えた一覧図は、
- 図形式で作る
- 続柄は戸籍どおり(長男・長女・養子…)に書く
この2点を最初から守っておけば、登記・銀行・税務のすべてに1つの一覧図で対応できます。
下書きの作成には、相続サプリの「法定相続情報一覧図 かんたん作成アプリ」をご利用ください。
申告の要否から確認したい方へ
「そもそも、うちは相続税がかかるのか」——多くの方の最初の疑問はここです。
財産の概要をうかがえば申告の要否の見当をお伝えし、必要な場合は相続税に強い税理士と連携して、一覧図の取得から登記・申告準備まで一体で進められます。
ご相談のお申し込み・お問い合わせ
公開日:2026年8月10日
最終更新日:2026年7月28日
執筆・監修:司法書士 名波直紀
名波司法書士事務所 代表
静岡県司法書士会所属・登録番号517
簡裁訴訟代理等関係業務認定番号108040
※本記事は、2026年7月28日現在の法令・公的機関の公表情報に基づいて作成しています。法令や制度は改正されることがありますので、実際の手続にあたっては最新情報をご確認ください。


