コラム

養子がいる場合の法定相続情報一覧図:続柄の書き方と相続税申告で注意すべき点

「亡くなった父には養子がいる。一覧図にはどう書けばいいのか」

「婿養子に入ってもらった娘の夫は、相続人になるのか」

養子縁組は、事業承継や相続対策、再婚に伴う縁組など、実務では頻繁に登場します。

そして養子が関わる法定相続情報一覧図には、続柄の書き方と戸籍の集め方に固有の注意点があります。

大前提:養子は実子とまったく同じ相続人

まず基本を確認します。

養子は、縁組の日から実子と同じ「子」としての相続権を持ちます。

相続分(取り分の割合)も実子と同じです。

  • 実子2人+養子1人 → 子3人で均等
  • 婿養子(娘の夫と縁組)→ 娘とその夫がそれぞれ相続人

なお、普通養子は実親との親子関係も続くため、実親・養親の両方の相続人になります。

一方、特別養子は実親との法律上の親子関係が終了しているため、養親の相続人にのみなります(実親の相続では相続人になりません)。

一覧図の書き方:続柄は「養子」

一覧図の続柄は、戸籍の記載どおり「養子」(女性は「養女」)と書きます。

ここで迷いが生じやすいのが、「実子と同じなのだから『長男』のように書いてよいのでは」「『子』とまとめてよいのでは」という点です。

  • 続柄を単に「」とまとめて記載することも制度上は可能です。ただし、その一覧図は相続税の申告など一部の手続きで使えないことがあります
  • 相続税申告に使う可能性があるなら、戸籍どおりの続柄(長男・長女・養子)で記載しておくのが安全です

図の線のつなぎ方は実子と同様、被相続人(養親)と養子を親子として結びます。

必要な戸籍:縁組の記載を確認できるものを

養子がいる場合も、基本の必要書類(被相続人の出生から死亡までの戸籍一式+相続人の現在戸籍)は同じです。

被相続人側の戸籍に養子縁組の記載が現れますので、縁組日がわかる戸籍まで含めて揃っているかを確認してください。

注意したいのは、古い縁組や、改製をまたぐ縁組です。

改製原戸籍にしか縁組の記載がないことがあり、現在戸籍だけでは縁組の事実を追えない場合があります。

「出生から死亡まで」を丁寧に集めることが、ここでも効いてきます。

また、被相続人が誰かと養子縁組をしていたことに家族が気づいていないケースも、戸籍を遡る過程で判明することがあります。

相続人が1人増えれば、遺産分割はやり直しです。

戸籍の読み取りは慎重に。

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改製原戸籍・除籍謄本とは何が違う?一覧図作成に必要な戸籍の種類まとめ

相続税に関わる注意:基礎控除に算入できる養子の数には制限がある

一覧図の話から少し広がりますが、実務上重要なので触れておきます。

相続税の基礎控除(3,000万円+600万円×法定相続人の数)などの計算では、法定相続人の数に含められる養子の数に制限があります。

  • 実子がいる場合 → 養子は1人まで
  • 実子がいない場合 → 養子は2人まで

(特別養子や連れ子養子など、実子扱いになる例外もあります。)

これは税金の計算上の話であって、相続人としての地位や相続分が制限されるわけではありません

「養子は2人目から相続人でなくなる」という誤解が時々ありますが、混同しないようにしてください。

相続税の具体的な計算は、税理士の領域になります。

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相続人は誰?法定相続分は?まずは「相続の割合 かんたん診断」で整理してみませんか

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養子を含む家族関係も、まず図に起こして全体を眺めることが第一歩です。

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※続柄の表記(養子・養女)は、戸籍の記載と照合のうえ確定してください。

>>法務局|法定相続情報証明制度の具体的な手続について<<

こんな場合は、ご相談ください

  • 再婚時の連れ子と縁組しているなど、実親・養親の関係が入り組んでいる
  • 戸籍を遡ったら、知らなかった縁組・離縁の記載が出てきた
  • 事業承継のための縁組があり、相続全体の設計と併せて確認したい

養子縁組が絡む相続は、戸籍の読み取りと相続人確定の難易度が上がります。

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公開日:2026年8月6日
最終更新日:2026728
執筆・監修:司法書士 名波直紀
名波司法書士事務所 代表
静岡県司法書士会所属・登録番号517
簡裁訴訟代理等関係業務認定番号108040

本記事は、2026728日現在の法令・公的機関の公表情報に基づいて作成しています。法令や制度は改正されることがありますので、実際の手続にあたっては最新情報をご確認ください。

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