コラム

前婚の子・認知した子がいる場合の法定相続情報一覧図:戸籍のどこを見るか

「亡くなった夫には、前の結婚のときの子どもがいる」

「父の戸籍を遡ったら、認知した子の記載が出てきた」

再婚が珍しくない時代、前婚の子や認知した子が相続人になるケースは、実務でも増え続けています。

そして、このパターンは一覧図の書き方そのものより、その先の進め方に本当の難しさがあります。

この記事では、書類面の要点と、進め方の注意点の両方を解説します。

大前提:前婚の子・認知した子も「同じ相続分」の相続人

まず、誤解の多い基本から。

  • 前婚の子は、離婚しても親子関係が切れることはなく、現在の婚姻の子と同じ相続分を持つ相続人です
  • 認知した子(婚姻外の子)も、認知によって法律上の親子となり、相続分は嫡出子と同等です(平成25年の法改正で差はなくなりました)
  • 一方、再婚相手の連れ子は、養子縁組をしていなければ相続人ではありません

「今の家族だけで相続手続きを進めてよいか」の分かれ目は、感情ではなく戸籍で決まります。

戸籍のどこを見るのか

前婚の子・認知した子の存在は、被相続人の出生から死亡までの戸籍一式を遡る過程で確認できます。

  • 前婚の子:前婚当時の(除籍された古い)戸籍に、子として記載されています。改製をまたぐと現在の戸籍には現れないため、改製原戸籍・除籍謄本まで揃えて初めて見つかることがあります
  • 認知した子:被相続人の戸籍の身分事項欄に認知の記載があります。認知された子自身は母親の戸籍などにいるため、そこから現在の戸籍をたどります

相続手続きで「出生まで遡った戸籍」が必ず求められるのは、まさにこうした相続人を漏らさないためです。

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「出生から死亡までの戸籍」とは?どこまで遡れば揃ったことになるのか

改製原戸籍・除籍謄本とは何が違う?一覧図作成に必要な戸籍の種類まとめ

法定相続情報一覧図の書き方

書き方自体は、通常の子と同じです。

  • 前婚の子・認知した子も、氏名・生年月日を記載し、続柄は戸籍どおり(「長男」「二女」など。認知の子も戸籍の続柄に従います)
  • 一覧図は相続人全員を1枚に記載します。「現在の家族の分だけ」で作ることはできません
  • 各相続人の現在の戸籍謄本が必要です。面識がなく本籍地がわからない場合、戸籍の記載をたどって調べていくことになります

なお、一覧図に住所を記載するかは任意です。

相続人同士が互いの住所を知られたくない事情がある場合は、住所を記載しない選択もできます。

詳しくは以下の解説記事をご覧ください。

法定相続情報一覧図に相続人の住所は書くべき?記載あり・なしで変わる後の手続き

本当の難所:面識のない相続人との遺産分割

書類よりも大変なのがここです。

遺産分割協議は相続人全員の合意がなければ成立しません。

前婚の子を除いて作った遺産分割協議書は無効です。

つまり、面識がなくても、連絡を取り、協議に加わってもらう必要があります。

進め方の一般的な注意点を挙げます。

  • 突然の電話や訪問より、事情を丁寧に説明した手紙から始めるのが穏当です
  • 相手にも法律上の正当な権利があります。「関わらないでほしい」という姿勢は、かえって話をこじらせます
  • 感情的な対立が予想される場合、当事者同士で直接やり取りせず、第三者(専門家)を間に入れる方が円滑に進むことが多いです

なお、弁護士と司法書士では担える役割が異なります。

紛争性が高い場合(代理人として交渉が必要な場合)は弁護士の領域です。

当事務所では、状況に応じて信頼できる弁護士との連携もご案内しています。

まず、戸籍で相続人を確定することから

このパターンの出発点は、思い込みを排して戸籍で相続人の全体像を確定することです。

判明している範囲の家族関係は、相続サプリの「法定相続情報一覧図 かんたん作成アプリ」で下書きに整理できます。

>>法定相続情報一覧図 かんたん作成アプリは、こちら<<

>>法務局|法定相続情報証明制度の具体的な手続について<<

おひとりで抱え込まず、ご相談ください

前婚の子・認知の子が関わる相続は、書類・連絡・感情の三つが絡み合う、デリケートな手続きです。

誰にも相談しにくいご事情も含めて、守秘義務のある専門家に話していただくのが、いちばんの近道だと考えています。

戸籍の収集による相続人の確定、お手紙の出し方のご相談、遺産分割協議書の作成、相続登記まで、状況に応じてお手伝いします。

ご相談のお申し込み・お問い合わせ

>>名波司法書士事務所(静岡県浜松市)へお問い合わせ<<


公開日:2026年8月7日
最終更新日:2026728
執筆・監修:司法書士 名波直紀
名波司法書士事務所 代表
静岡県司法書士会所属・登録番号517
簡裁訴訟代理等関係業務認定番号108040

本記事は、2026728日現在の法令・公的機関の公表情報に基づいて作成しています。法令や制度は改正されることがありますので、実際の手続にあたっては最新情報をご確認ください。

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