戸籍を読んでいたら知らない相続人が出てきた:先に確認すべきこと

相続の手続きのために戸籍を遡っていたら、見たことのない名前が「子」として記載されていた——。
父の前の結婚。認知された子。祖父母の代の養子縁組。ご家族も知らなかった事実が、戸籍から明らかになることは、実務では決して珍しくありません。
それでも、当事者にとっては大きな動揺を伴う出来事です。
この記事では、そんな場面で先に確認すべきことと、やってはいけないことを、順を追ってご説明します。
まず深呼吸を:よくあることで、対処法もあります
最初にお伝えしたいのは、このケースには確立した進め方があるということです。
感情の整理には時間がかかって当然ですが、手続きの面では、慌てる必要も、悲観する必要もありません。
ステップ1:戸籍の記載を正確に確認する
動く前に、まず事実の確認です。
戸籍の記載から、次を読み取ります。
- その方は本当に相続人にあたるのか(子なのか、養子なのか、認知なのか。離縁や、被相続人より先に亡くなっている記載はないか)
- 亡くなっている場合、その方に子(代襲相続人)はいるか
古い戸籍は手書き・旧字体で、読み違いも起こります。
「知らない相続人がいる」と思ったら実は読み違いだった、ということもあれば、その逆もあります。
この確認は、専門家に依頼する価値が特に高い工程です。
ステップ2:相続人にあたるなら、「除いて進める」ことはできません
確認の結果、その方が相続人であれば、重要な原則があります。
遺産分割協議は、相続人全員が参加しなければ無効です。
「関わりのなかった人だから」「連絡先もわからないから」といって除外して作った遺産分割協議書は、法的に効力がありません。
銀行や法務局の手続きも、その方を含めた書類でなければ進みません(法定相続情報一覧図にも、相続人全員を記載します)。
関連記事
前婚の子・認知した子がいる場合の法定相続情報一覧図:戸籍のどこを見るか
やってはいけないこと
- 存在を無視して手続きを進める:後から無効を主張され、すべてやり直しになります
- 感情的な連絡を突然入れる:相手にも事情と権利があります。最初の接触のこじれは、その後の協議全体をこじらせます
- 放置する:時間が経つほど、相続人の死亡(数次相続)で関係者が増え、解決が難しくなります。相続登記の義務(3年)も進行します
ステップ3:連絡の取り方
一般的には、次の進め方が穏当です。
- 戸籍の附票などから現在の住所を調べる(職務上の権限で専門家が調査できます)
- いきなりの訪問や電話ではなく、事情を丁寧に説明した手紙から始める
- 手紙には、亡くなった方のこと、相続が発生したこと、協議へのご協力をお願いしたいことを、事務的になりすぎず、しかし簡潔に書く
当事者同士の直接のやり取りに不安がある場合は、専門家を窓口にする方法もあります。
なお、既に感情的な対立があり交渉が必要な状況であれば、それは弁護士の領域です。状況に応じて、信頼できる弁護士をご紹介します。
ご家族の心の整理も、急がないでください
この種の発見は、亡くなった方の人生の知らなかった一面に触れる出来事でもあります。
手続きには期限がありますが、お気持ちの整理まで期限に追われる必要はありません。
手続き面を専門家に預けてしまうことで、ご家族が感情の部分に向き合う余裕を作る——そんなご依頼のかたちも、実際に多くあります。
おひとりで抱えず、早めにご相談ください
「誰にも相談しづらい」内容だからこそ、守秘義務のある専門家をお使いください。
当事務所では、戸籍の正確な読み取りによる相続人の確定から、お手紙のご相談、遺産分割協議書の作成、登記・預貯金の手続きまで、一貫してお手伝いしています。
浜松で30年、この種のご相談に数多く立ち会ってきました。
まずは、戸籍を拝見するところからで構いません。
ご相談のお申し込み・お問い合わせ
公開日:2026年8月13日
最終更新日:2026年7月28日
執筆・監修:司法書士 名波直紀
名波司法書士事務所 代表
静岡県司法書士会所属・登録番号517
簡裁訴訟代理等関係業務認定番号108040
※本記事は、2026年7月28日現在の法令・公的機関の公表情報に基づいて作成しています。法令や制度は改正されることがありますので、実際の手続にあたっては最新情報をご確認ください。


