遺言書は本当に必要?司法書士が「作るべき家庭」を7つの条件でチェック

「うちは財産も少ないし、家族仲もいいから遺言なんて」——ご相談の場で最もよく聞く言葉です。
しかし相続の現場では、財産の多寡と揉めやすさはほとんど関係ありません。
浜松で2,000件超の相続実務を見てきた経験から、「この条件に当てはまるなら遺言を作るべき」という7つの条件をお伝えします。
条件1:子どものいないご夫婦
遺言の必要性が最も高い類型です。
遺言がないと、配偶者は亡き夫(妻)の兄弟姉妹や甥姪と遺産分割協議をしなければならず、自宅の名義変更ひとつに義理の親族の実印が必要になります。
遺言で「全財産を配偶者に」と書けば、兄弟姉妹には遺留分がないため、この問題は完全に消えます(詳細:子のいない夫婦の遺言)。
関連記事
兄弟姉妹に遺留分はない|子供がいない夫婦の相続と遺言書の必要性
条件2:再婚していて、前の配偶者との間に子がいる
前婚の子も現在の家族と同順位の相続人です。
遺言がなければ、現在の配偶者・子と前婚の子が顔を合わせて協議することになり、連絡すら難しいケースが少なくありません(詳細:再婚家庭の遺言)。
条件3:財産の大半が不動産
自宅が財産のほとんどというご家庭は、現金のように「きっちり分ける」ことができません。
誰が住むか・売るか・代償金をどうするかで協議が紛糾しがちです。
遺言で行き先を決めておくことが、そのまま紛争予防になります。
条件4:相続人以外に遺したい人がいる
長男の妻(介護をしてくれた)、内縁のパートナー、孫、お世話になった団体——これらの人は相続人ではないため、遺言がなければ1円も渡せません。
想いを実現する手段が遺言しかない類型です。
関連記事
遺言で「特定の人に多く残したい」と考えたときに。遺留分を事前に確認する大切さ
条件5:おひとりさま(相続人がいない・疎遠)
相続人がいない場合、財産は最終的に国庫に帰属します。
遺したい相手や団体があるなら遺言が唯一の手段です(詳細:おひとりさまの遺言)。
条件6:家業・自社株・農地がある
事業や農地は分散させると立ち行かなくなります。
後継者への集中は遺言(+生前対策)でしか設計できません(詳細:事業承継の遺言)。
条件7:相続人同士の関係に少しでも不安がある
長年交流のない兄弟、経済状況の差、過去の援助の不公平感——「うちは大丈夫」と思っていた家庭ほど、些細なきっかけで協議が止まります。
協議そのものを不要にできるのが遺言の本質的な価値です。
一つも当てはまらなかった方へ
配偶者と子が円満で、財産構成もシンプルなら、遺言の緊急性は相対的に低いといえます。
それでも、遺された家族の手続き負担(遺産分割協議書の作成、全員の実印集め)は遺言があるだけで大幅に減ります。
「必要性」ではなく「家族への配慮」として作る遺言も立派な選択です。
関連記事
相続人は誰?法定相続分は?まずは「相続の割合 かんたん診断」で整理してみませんか
まとめ
遺言が必要かどうかは、財産額ではなく家族の形で決まります。
7条件のうち1つでも当てはまれば、遺言はあなたの家庭にとって「保険」ではなく「必需品」です。
次の一歩は方式選びから始めてください。
残されるご家族へ「揉めない安心」を遺すために
「うちは家族仲が良いから大丈夫」と思っていても、遺言書がないことでご家族が煩雑な名義変更や遺産分割協議に追われてしまうケースは少なくありません。
遺言書は、万が一のときの「保険」であり、大切なご家族へ贈る「感謝と配慮のメッセージ」です。
「遺言で何をどう指定すればいいか分からない」
「手続きの負担をできるだけ減らしてあげたい」
という方は、ぜひ一度実務経験豊富な司法書士へご相談ください。
状況の整理から具体的な文章の作成まで、一貫してお手伝いいたします。
▶ [名波司法書士事務所(静岡県浜松市)へのお問い合わせ・ご相談はこちら]
作成日:2026年7月29日
執筆・監修:司法書士 名波直紀
名波司法書士事務所 代表
静岡県司法書士会所属・登録番号517
簡裁訴訟代理等関係業務認定番号108040
※本記事は、2026年7月28日現在の法令・公的機関の公表情報に基づいて作成しています。法令や制度は改正されることがありますので、実際の手続にあたっては最新情報をご確認ください。


