コラム

再婚・前妻の子がいる方の遺言:家族を分断しない遺し方

再婚されたご家庭の相続には、構造的な難しさがあります。

前婚のお子さんも、今の配偶者・お子さんと同順位の相続人だからです。

遺言がないまま相続が始まると、今の家族と前婚の子が遺産分割協議のテーブルに着くことになります。

連絡先すら知らない、会ったことがない——そんな者同士の協議は、想像以上に過酷です。

遺言でできる備えを解説します。

 

遺言がないと何が起きるか

遺産分割協議は相続人全員の合意がなければ成立しません。

一人でも欠けた協議は無効です。

つまり、残された配偶者は前婚の子を戸籍から探し出し、連絡を取り、協議を持ちかけ、実印をもらう必要があります。

感情的なわだかまりがあれば協議は容易に紛糾し、家庭裁判所の調停に進むケースも少なくありません。

自宅の名義変更も預金の解約も、そのあいだ止まったままです。

 

遺言があると何が変わるか

遺言で財産の行き先を指定しておけば、遺産分割協議そのものが不要になります。

残された配偶者が前婚の子と交渉のテーブルに着く必要はなくなり、登記も預金も遺言に従って進みます。

再婚家庭にとって遺言は、「あった方がよい」ではなく家族を協議の場に立たせないための防波堤です。

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ただし、前婚の子の遺留分は消せない

設計上、絶対に無視できないのが遺留分です。前婚の子にも実子として遺留分(法定相続分の半分)があり、「全財産を今の妻に」という遺言は、ほぼ確実に遺留分侵害額請求の引き金になります。

請求の相手は残された配偶者。

守るつもりの遺言が、配偶者を紛争の当事者にしてしまうのです。

現実的な設計は次の3方向です。

遺留分相当額を前婚の子に遺す

最も確実です。

「前婚の長男には金◯◯万円を相続させる」と明記し、請求の根拠自体をなくします。

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生命保険で支払い原資を作る

配偶者を受取人にした保険金で、万一請求された場合の支払い原資を確保します。

保険金は原則遺産の外なので、配分を崩さず現金を用意できます。

自宅は配偶者居住権の活用も

「住まいは今の配偶者に保障し、所有権は子へ」という分け方ができる配偶者居住権は、再婚家庭との相性が良い制度です。

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付言事項の重みが最も大きい類型

前婚の子の心情の根には、「捨てられた」「後の家族だけ大事にされた」という感情が横たわっていることが少なくありません。

配分の理由、前婚の子への謝意や想いを綴った付言事項は、この類型で最も重い意味を持ちます。

金額の多寡以上に、「忘れていなかった」というメッセージが請求を思いとどまらせることがあります。

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今の配偶者側・お子さん側からの相談も

「夫に前婚の子がいる。私はこの家に住み続けられるのか」

——配偶者やお子さんの側からのご相談も多く承ります。

遺言はご本人にしか作れませんが、家族が制度を正しく理解し、本人に準備を促すことはできます。

ご夫婦同席・親子同席でのご相談、オンラインでの事前相談にも対応しています。

 

まとめ

前婚のお子様と現在の配偶者・お子様が同順位の相続人となる再婚家庭の相続では、遺言の有無が残されたご家族の将来を大きく左右します。

遺言の防波堤効果: 遺言で財産の行き先を指定することで、関係性の薄い前婚の子と現在の家族による過酷な「遺産分割協議」を不要にする

遺留分への備え: 前婚の子の遺留分(法定相続分の半分)を考慮し、事前に一定額を配分するか、生命保険や配偶者居住権で支払い原資を整える

感情面のケア: 配分の理由や前婚の子への謝意を伝える「付言事項」を添え、感情的なもつれによる金銭請求を防ぐ

再婚家庭の遺言は、「①遺産分割協議を不要にする防波堤の構築」「②遺留分への現実的な備え」「③前婚の子への想いを言葉にする付言」の3ステップで設計することが必須です。

残されたご家族同士を争わせないために、プロと一緒に確実な遺言書を整えておきましょう。

「自分(夫)に前婚の子がおり、残された今の家族の将来が心配」な方へ

「自分が亡くなった後、妻が前婚の子供と連絡を取って話し合いをするなんてあまりに酷だ」

「今の妻に自宅を残してあげたいけれど、前婚の子から遺留分を請求されないか不安」

再婚されたご家庭の相続では、遺言書がないと現在の配偶者やお子様が、連絡先すら知らない前婚のお子様と遺産分割協議(実印集め)を行わなければならなくなります。

しかし、前婚のお子様の「遺留分」にしっかり配慮した遺言書を作成しておけば、残された配偶者を過酷な交渉から守り抜き、トラブルを未然に防ぐことができます。

当事務所(静岡県浜松市)では、2,000件超の相続・遺言実務に携わってきた司法書士が、現在の配偶者様の生活を守る配分設計から、生命保険・配偶者居住権の活用、前婚のお子様へ想いを伝える付言事項の作成までトータルで手厚くサポートいたします。

配偶者様やお子様からのご相談、ご夫婦同席・オンラインでの事前相談にも柔軟に対応しております。

家族を分断させない確実な遺言書を作るために、まずは無料相談でお気軽にお悩みをお聞かせください。

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執筆・監修:司法書士 名波直紀
名波司法書士事務所 代表
静岡県司法書士会所属・登録番号517
簡裁訴訟代理等関係業務認定番号108040

※本記事は、2026年8月9日現在の法令・公的機関の公表情報に基づいて作成しています。法令や制度は改正されることがありますので、実際の手続にあたっては最新情報をご確認ください。

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