コラム

実家(空き家・農地・山林)を特定の人に遺す遺言:登記・管理まで見据えて

かつて不動産の相続争いは「取り合い」でした。

いま浜松の実務現場で増えているのは、実家・農地・山林の「押し付け合い」です。

誰も住まない実家、耕せない農地、境界も分からない山林

――これらを遺言でどう扱うかは、現代の生前対策の中心テーマになりました。設計の考え方を解説します。

 

大原則:「誰に」の前に「引き受けてくれるか」

管理負担のある不動産の遺言で最大の失敗は、本人の同意なく押し付けることです。

「長男に実家を相続させる」と書いても、長男が要らなければ相続放棄(全財産の放棄)か、受け取った上での処分負担かの二択を迫ることになります。

書く前に、必ず候補者と率直に話し合ってください。

「誰が引き受けるか」の合意こそが、この類型の遺言の中身そのものです。

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実家(空き家になる見込みの家)の設計

住む人・使う人がいる場合

その人に「相続させる」で確定します。

不動産の特定は登記事項証明書どおりに書きます。

誰も使わない場合

実務的な正解は「売って分ける」を遺言に組み込むことです。

「不動産を売却・換価し、費用を控除した残金を子3人に等分に相続させる」という清算型の遺言にし、売却を担う遺言執行者を指定します。

空き家のまま共有で残す遺言は、管理責任と固定資産税だけを分け合う最悪の形になりがちです。

なお、相続した実家の売却には税制特例(空き家の3,000万円特別控除等)が関わるため、売却まで見据えた設計では税理士と連携します。

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農地の設計:農地法の壁

農地には農地法という特有の壁があります。

相続人に「相続させる」場合は農業委員会への届出で足りますが、相続人以外への特定遺贈では農業委員会の許可が必要となり、受け手が耕作できる要件を満たさなければ許可されません。

「農業を続ける甥に譲りたい」といった希望は、生前の農地法手続き(贈与・売買)や許可要件の確認まで含めた設計が必要です。

文言の選択(相続させる/遺贈する)が手続きの成否を分ける典型場面です。

 

山林の設計:まず「どこにあるか」から

山林は、所在も境界も現況も分からないまま代々引き継がれていることが珍しくありません。

遺言に書く前に、名寄帳・公図・森林簿で保有する山林の棚卸しをしてください。

引き受け手がいない場合、森林組合への相談、隣接所有者への譲渡、自治体への寄附照会など、生前の出口探しが遺言設計と並行して必要です。

 

「いらない土地」と相続土地国庫帰属制度

引き受け手のない土地について、相続後に相続土地国庫帰属制度で国に引き取ってもらう道はあります。

ただし、建物がある土地や境界不明の土地は対象外、負担金の納付も必要と、決して「タダで引き取ってくれる」制度ではありません。

遺言の設計段階では、「国庫帰属をあてにする」のではなく、建物の解体・境界の確定・売却の努力を生前にどこまでやっておくかを決める方が現実的です。

 

子世代からの相談も歓迎です

「親の実家と山林、将来自分たちが引き継げる気がしない」

――県外にお住まいのお子さま世代からのご相談も増えています。

親御さんの生前だからこそできる対策(棚卸し・処分・遺言)は多く、相続後より選択肢が格段に豊富です。

帰省に合わせた親子同席相談、オンラインでの事前相談に対応しています。

不動産の棚卸しから遺言設計、売却時の登記、相続後の相続登記まで一気通貫で対応します。

親子同席でのご相談も歓迎いたします。

まとめ

実家・農地・山林といった管理負担の大きい不動産は、かつての「取り合い」ではなく「押し付け合い」によるトラブルが浜松の現場でも急増しています。

失敗を防ぐ大原則: 本人の同意なく押し付けず、事前に引き受けてくれる相手と話し合って合意を作る

使い道別の出口設計: 使わない実家は遺言執行者を指定した「清算型遺言(売って分ける)」にし、山林は名寄帳・公図・森林簿で生前に棚卸しをする

制度の正しい認識: 相続土地国庫帰属制度は建物がある土地や境界不明地は対象外のため、安易にあてにせず生前に対策を講じる

実家・農地・山林の遺言づくりは、単なる文章作成の技術ではなく、「①引き受け手との合意→②財産の棚卸し→③出口(使う・売る・手放す)の決定→④遺言への落とし込み」という丁寧な段取りがすべてです。

親御様が元気な生前だからこそ選べる豊富な選択肢をご提案いたしますので、子世代の方も気軽にご相談ください。

「誰も住まない実家や、耕せない農地・境界不明の山林の今後が心配」な方へ

「実家を誰も引き継ぐ予定がなく、空き家のまま残して子供たちを困らせたくない」

「県外に住んでいるけれど、親の実家や山林の引き継ぎ・処分のことで話し合いたい」

誰も使わない実家や農地・山林を、安易に共有名義にしたり本人の同意なく遺言で遺したりすると、将来子どもたちが管理費や固定資産税、境界トラブルに悩まされる「負動産」になってしまいます。

親御様が元気な今だからこそできる「財産の棚卸し」と「売却・処分の出口戦略」を整えることが最も重要です。

当事務所(静岡県浜松市)では、2,000件超の相続・不動産実務に携わってきた司法書士が、不動産の詳細な棚卸しから、売って分ける「清算型遺言」の作成、遺言執行者の引き受け、売却時や相続後の各種登記まで一気通貫で手厚くサポートいたします。

県外にお住まいのお子様世代とのオンライン相談や、帰省に合わせた親子同席でのご相談も大歓迎です。

大切な不動産を将来の負担にしないために、まずは無料相談でお気軽にお悩みをお聞かせください。

WEBからの無料ご相談・お問い合わせはこちら


作成日:2026年8月10日

執筆・監修:司法書士 名波直紀
名波司法書士事務所 代表
静岡県司法書士会所属・登録番号517
簡裁訴訟代理等関係業務認定番号108040

※本記事は、2026年8月10日現在の法令・公的機関の公表情報に基づいて作成しています。法令や制度は改正されることがありますので、実際の手続にあたっては最新情報をご確認ください。

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