遺言書は何年ごとに見直すべき?書き直しのタイミングと注意点

遺言書は一度作れば安心――ではありません。
作成時には完璧だった遺言が、数年後の相続開始時には現実とずれて機能しないことが実務ではしばしば起こります。
見直すべきタイミングと、正しい書き直しの手順をまとめます。
大原則:「何年ごと」より「変化があったら」
定期点検の目安として「3〜5年に一度」とよく言われ、それ自体は妥当です。
しかし本質は年数ではなく変化です。
次の7つのタイミングでは、年数にかかわらず見直してください。
財産が大きく変わったとき
不動産を売った・買った、退職金が入った、預金口座を整理した
――遺言に書いた財産が既にない場合、その条項は空振りになります。
逆に書いていない財産が増えると、その部分は遺産分割協議行きです。
遺す相手が亡くなったとき(最重要)
「妻に相続させる」の妻が先に亡くなると、その条項は失効します。
予備的条項を入れていても、予備まで含めて現実と合っているかの点検が必要です。
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家族構成が変わったとき
子や孫の誕生、相続人の結婚・離婚、自身の再婚、養子縁組。
相続人の顔ぶれが変わる出来事は、配分設計の前提を変えます。
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相続人との関係が変わったとき
介護をしてくれるはずだった子と疎遠になった、逆に想定していなかった子が支えてくれている
――配分の理由が変わったら、配分も見直しどきです。
遺言執行者が務められなくなったとき
指定した執行者の死亡・高齢化・関係変化も見直し事由です。
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法制度が変わったとき
相続法は近年改正が続いています。
配偶者居住権の新設、相続登記の義務化、そして今後のデジタル遺言制度・押印廃止など。
古い前提で書かれた遺言は、新制度下でより良い設計に置き換えられる可能性があります。
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自身の健康状態が変わったとき
判断能力が低下してからでは書き直せません。
「まだ大丈夫」なうちが、最後の見直し機会です。
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書き直しの正しい手順
見直しの結果、内容を変えたい場合の鉄則は、部分訂正ではなく全部書き直しです。
- 新しい日付で遺言を全部作り直す(「本遺言以前に作成した遺言はすべて撤回する」という撤回条項を冒頭に入れると、複数遺言の解釈争いを断てます)
- 古い遺言書を回収して破棄する(保管制度利用なら撤回して返却を受ける――手順。公正証書は原本が公証役場に残りますが、新しい遺言が優先します)
- 新しい遺言を保管制度・公証役場で確実な形にする
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「見直しやすい遺言」を最初から作る
見直し前提の時代には、作り方にもコツがあります。
財産を個別列挙しすぎず包括条項で受け止める、予備的条項を入れる、保管制度(撤回無料・再保管3,900円)や公正証書など更新コストの低い仕組みを選ぶ
――当事務所では「10年使える設計+変化があれば作り直す」を標準方針としています。
以前に作った遺言の「健康診断」を承ります。
まとめ
遺言書は「一度作れば一生安心」というものではなく、ご自身の生活やご家族の状況に合わせて「育てていくもの」です。
・見直しのタイミング: 年数にかかわらず、財産の変動・受取人の先立たれ・家族関係の変化・認知症リスクなど「7つの変化」が生じたときに点検する
・書き直しの鉄則: 部分的な加筆修正ではなく、冒頭に「以前の遺言をすべて撤回する」旨を明記して「全部書き直す」のが確実
・古い遺言の処理: 古い遺言書は回収・破棄し、新しい遺言書を保管制度や公正証書で確実にカタチにする
状況が変化したまま古い遺言書を放置しておくと、かえって残されたご家族のトラブルや手続きのストップを招いてしまいます。
数年前に作成した遺言書や、他所で作成された遺言書の「健康診断(リーガルチェック)」も承っておりますので、気になった段階でプロへお気軽にご相談ください。
「数年前に書いた遺言書があるけれど、今の状況に合っているか不安」な方へ
「昔作った遺言書に書いてある不動産を売却してしまった」
「指定した受取人や遺言執行者が高齢になり、万が一の際スムーズに手続きできるか心配」
作成した当時は完璧だった遺言書も、ご自身の財産の変動やご家族の状況変化、法改正などによって、いざ相続が始まった際に「解釈が割れて揉める」「一部の財産が空振りになる」といったトラブルを引き起こすことがあります。
不備や現実とのズレを防ぐためには、定期的な点検と正しい手順での「書き直し」が欠かせません。
当事務所(静岡県浜松市)では、2,000件超の相続・遺言実務に携わってきた司法書士が、お手持ちの遺言書の「健康診断(リーガルチェック)」から、古い遺言の確実な撤回、変化に強い最新の公正証書遺言・保管制度を活用した書き直しまでトータルでサポートいたします。
他所で作成された遺言書や、ご自身で作成された自筆証書遺言の点検も大歓迎です。
いつ何が起きても安心できる状態を整えるために、まずは無料相談でお気軽にお悩みをお聞かせください。
作成日:2026年8月11日
執筆・監修:司法書士 名波直紀
名波司法書士事務所 代表
静岡県司法書士会所属・登録番号517
簡裁訴訟代理等関係業務認定番号108040
※本記事は、2026年8月11日現在の法令・公的機関の公表情報に基づいて作成しています。法令や制度は改正されることがありますので、実際の手続にあたっては最新情報をご確認ください。


