コラム

相続人と相続財産の確定

相続でよくある5つの勘違い

 

相続人調査と財産調査

思わぬ方が相続人になることも・・・

 

相続は亡くなった方から相続人への財産などを移転することですから、そもそも相続人が誰なのかが分からなければ手続はできません。

 

「調べなくても大丈夫だろう。」と考えていると、思わぬ事態に陥ってしまう危険性があります。

しっかりと誰が相続人であるかを把握することが重要です。

 

想像もしなかったような人が相続人になることも少なくはありません。

 

正しい相続人の知識があったら、絶対に調査の手抜きはできません。

 

だれが相続人になるのか?

誰が相続人になりえる権利をもつのかは民法で決められています。

原則として遺言や死因贈与契約がなければ相続人以外の人が相続財産を取得することはありません。

 

・配偶者 どんな場合でも相続人になります。

・子(養子、胎児含む) 第一順位の相続人になります。子がすでに亡くなっていて、

その代襲者(孫など)がいる場合は、代襲者が第一順位の相続人になります。孫もすでに亡くなっているときは、さらにその子が相続人となります。

・直系尊属 直系尊属(父母、祖父母など)のうち、存命でもっとも親等が近い者が第二順位の相続人になります。

・兄弟姉妹 第三順位の相続人になります。兄弟姉妹がすでに亡くなっている場合は、

その子(甥、姪)が代襲して第三順位の相続人になります。

甥、姪が亡くなっていてもその子は相続人になりません。

 

配偶者と子以外の相続人は、先順位の相続人がいない場合にのみ相続人になります。

 

つまり、実際に相続人として相続に関係する人の組み合わせは次の形しかありません。

 

相続人として相続に関係する人の組み合わせ

 

・配偶者と子・養子・胎児(代襲相続人を含む)

・配偶者と両親(または一番親等の近い直系尊属)

・配偶者と兄弟姉妹(代襲する甥、姪を含む)

・配偶者のみ

・子・養子・胎児(代襲相続人を含む)のみ

・両親(または一番親等の近い直系尊属)のみ

・兄弟姉妹(代襲する甥、姪を含む)のみ

 

相続人がはっきりしていないと、なんら権利をもたない部外者がまるで相続人であるかのように振舞い、話を混乱させるケースもありますので、調査の段階で「相続人」と「部外者」をはっきりさせることが重要です。

 

相続人を特定する方法は?

①誰が相続人なのかを調べるためには、亡くなった方の「戸籍謄本」「除籍謄本」「改製原戸籍」等を出生から死亡まですべて取得します。

②通常、この段階で両親と子供、配偶者が確認できます。

③子供(代襲者を含む)がいない場合は両親をはじめとする直系尊属が相続人になりますので、必要に応じて戸除籍を取り寄せて調査します。

④直系尊属が全員亡くなっている場合は兄弟の戸除籍も取り寄せて調査します。

 

 

意外に思われるかもしれませんが、相続人の数が当初考えていたより遥かに増えるケースはかなりの割合であります。

被相続人がなくなって突如姿を現す相続人もいるのです。

 

相続人確認の調査の手を抜くと、後で見落としていた相続人から相続の回復を請求されて、すべてがやり直しになる可能性がありますので慎重に調査しましょう。

 

嫡出子と非嫡出子

法律上の婚姻関係にある男女間に生まれた子を嫡出子といいます。そして法律上の婚姻関係にない男女間に生まれた子であっても、父親に認知されたときは非嫡出子として父親の第一順位の相続人となります。その後父母が婚姻した場合には嫡出子となります(準正)。

ただし非嫡出子の法定相続分は嫡出子の半分になってしまいます。

 

普通養子

養親と養子との合意により成立し市役所等に届出ることで養親の嫡出子となります。ただし未成年者を養子とする場合には原則として家庭裁判所の許可を要します。そして養子となることで実親の子であると同時に養親の子でもあることになり、実親または養親のどちらが死亡した場合でも、その相続人となります。

 

特別養子

普通養子の場合と異なり家庭裁判所への申立てによってします。原則として6歳未満の未成年者の福祉のために特に必要と認められる場合にのみ養子となることができます。特別養子縁組が成立すると養子と実親側との親族関係が消滅します。つまり実親が死亡しても相続人となりません。

 

胎児

相続開始時に被相続人の配偶者(妻)に胎児がいる場合には、その胎児は生まれた者とみなされ相続人となります。

 

また、相続人ではなくても、遺言で「財産の一割を遺贈する」とか「財産の半分を譲る」と指定されていた人(包括受遺者と言います)は、相続人とほぼ同じように扱われ、後の遺産分割協議に参加することになります。

 

相続放棄した者、相続欠格事由に該当する者、相続廃除された者は相続人となりません。

 

財産を調査する

相続は、色々な財産や権利・義務をそのまま受け継ぐということです。

 

相続人は自分の相続したい財産の一部分だけを選択して相続することはできません。

亡くなった人が持っていた財産や権利・義務のすべてを相続することになりますから、借金も一緒に相続しなければいけないのです。

 

ですから相続が開始してからできるだけ早い時期、どんなに遅くとも3ヶ月以内には相続財産額がプラスなのかマイナスなのかくらいは確認できる調査をしなければいけません。

 

原則は「すべて相続するか」「すべて放棄するか」のどちらかになります

 

 

相続財産には3種類あります。

 

相続財産 遺産分割の対象になる財産

みなし相続財産 相続税の課税対象になる財産

祭祀財産 相続財産にも、みなし相続財産にもそのどちらにもならない財産

 

確認できた財産がどれに当たるかによって、扱いが異なりますので注意しましょう。

 

財産をどうするか?

財産がプラスかマイナスか調査し、必要か不要か、その判断ができたら相続するかどうかを決めます。

その際できるのは次の3つの選択です。

 

相続財産を単純承認する

  • すべての相続財産をそのまま相続する選択です。
  • 特に手続きは必要ありません。

 

相続財産を放棄する

  • 負債も含め何も受け継がない選択です。
  • 相続が開始されたことを知った時から3ヶ月以内に、家庭裁判所に対して相続放棄の申立をします。

 

相続財産を限定承認する

  • 財産が差し引きでプラスなら相続する選択です。
  • 相続が開始されたことを知った日から3ヶ月以内に、家庭裁判所に対して限定承認の申立をします。
  • 一見この手続なら安心に思われますが、共同相続人全員が共同して申し立てなければならず、一人でも単純承認した相続人がいると申し立てできません。
  • 限定承認によって相続した財産については、相続時に、相続時の価額に相当する金額により譲渡があったものとみなして、譲渡所得税を納めなければなりません。
  • なお、相続財産の使い込みや隠匿も単純承認とみなされますので、あとから共同相続人の一人が財産をごまかしていたことがわかると大変なことになります。

ここまでできたら、いよいよ相続放棄をしなかった相続人の間で財産の分け方を決める話し合いをします。

 

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